東洋医学で考える血のはたらきと整え方
私たちのからだには、目には見えないけれど大切なエネルギーがいくつかあります。
東洋医学では「気(き)・血(けつ)・水(すい)・精(せい)」の4つが、体のバランスを整えていると考えられています。
その中でも、「血(けつ)」は栄養と潤いを全身に届ける、しっとりとしたエネルギーとして考えられています。
「血(けつ)」はからだだけでなく、心の安定にも深く関わっています。
血(けつ)とはなにか?
東洋医学での「血」は、西洋医学でいう「血液」そのものではなく、
からだに栄養を与える
肌や髪、爪に潤いを届ける
脳や目にエネルギーを運ぶ
感情を落ち着かせる
といった働きをもつ、「めぐる栄養と心の支え」のような存在です。
特に女性は、毎月の月経や出産によって「血」を消耗しやすく、血の状態は体調や気分に大きく影響します。
血はどこで作られる?
血は、主に飲食物の栄養から作られるとされています。
「脾(ひ)」=消化・吸収の力
「胃」=栄養を受けとる場
「心(しん)」=血を送り出すポンプ
「肝(かん)」=血をたくわえ、流れを調整する場所
これらの働きが合わさって、からだ中に血がしっかりめぐっていきます。
血が不足するとどうなる?(血虚・けっきょ)
血が足りなくなった状態を「血虚(けっきょ)」といいます。
これは特に女性に多いタイプの不調とされています。
主な症状
顔色が青白い:血の色味が足りないため。
めまいや立ちくらみ:脳に血が届かない。
肌・唇の乾燥:血が皮膚に潤いを送れない。
抜け毛・白髪:血は髪の栄養とされる。
月経不順・経血が少ない:血そのものが不足している。
眠りが浅い・夢が多い:血が心(しん)を養えず、不安定になるため。
目の疲れやかすみ:目に血が届きにくくなる。
血を養う生活習慣とは?
「血(けつ)」は「よい食事・よい休息・よい感情の流れ」から育まれます。
食事で「血をつくる」
血を補う食材(補血)としてよく使われるものをあげてみます。
黒ごま、黒豆
にんじん、ほうれん草、ビーツ
なつめ、クコの実、山芋
レバー、赤身の肉、卵
貝類、牡蠣(かき)
「赤・黒・甘い食材」は血を養うとされます。
睡眠は“血をためる”時間
夜は血がからだの深部に戻ってきて、心や臓器を休ませてくれます。
寝不足が続くと「血をつくる時間」が減ってしまい、疲れや不安定な気分の原因に。
特に夜10時〜深夜2時は、血が再生される時間帯とされています。
情緒の安定も大切
怒りすぎたり、ストレスが溜まると、「肝(かん)」の働きが乱れ、血の流れも滞ります。
・深呼吸をする
・お風呂につかる
・好きな音楽や香りで気分を落ち着ける
など、「心をほどく時間」が、血のめぐりにも良い影響を与えます。
血を整えましょう
「血(けつ)」は、単なる血液ではなく、『内側からあなたを美しく整える力』です。
肌や髪のツヤ
安定した月経や妊娠力
心の落ち着き
若々しさ
眠りの質
これらはすべて「血」が足りているか、うまく巡っているかで変わってきます。
「なんとなく不調」は、からだからのサイン。
血を養う生活をはじめれば、あなた本来の力が目を覚ましますよ!