先日、お客様から興味深いお話を聞きました。

80代の方なのですが、同級生や同じ学校に通っていた方々を集めて、同窓会のような会を企画されたそうです。

これから先、みんなで集まる機会も少なくなっていくかもしれない。だからこそ、まだ元気なうちに集まって楽しもう。そんな気持ちから始まった会だったそうです。

当初は30人ほどの小さな会を予定していたそうですが、同じ学校の方で、長年仕事に打ち込み、60歳を過ぎてから津軽三味線を学び、さらに演歌にも挑戦して、このたびオリジナル曲でCDデビューされる方がいらっしゃったそうです。

それなら、そのお祝いも兼ねて集まろうということになり、参加希望者はあれよあれよという間に倍近くまで増えたそうです。

お客様はその会の幹事のような立場で、ホテルの手配から参加者の調整、当日の進行や司会、会の流れまで、裏方として準備を進められました。

お話を聞いているだけでも大変そうな仕事です。

参加するだけなら楽しい会ですが、それを企画して実際に成功させるとなると、話はまったく違います。

人数を把握し、会場を押さえ、予算を考え、当日の流れを組み立てる。参加する方々が楽しめるように考えながら、費用の調整もしなければなりません。

人数が増えたからといって、ただ会場を大きくすればいいわけでもありません。

余ったお金を自分たちのために残すのではなく、参加してくださる方々に少しでも還元できるように考え、最後には大きな不足も余りも出ないように調整されたそうです。

そして先日、無事に会を終えることができたとのことでした。二次会ではカラオケも楽しまれたそうです。

お話を聞いていて、私は単純にすごいなと思いました。

もちろん、その方一人の力でできたわけではありません。主役となった方の人柄や、会に協力された方々の存在があってこそです。

それでも、80代になって、身体にも不自由なところがあり、痛みや病気も抱え、目も見えづらくなっている中で、これだけのことを引き受け、最後までやり遂げる。

自分がその年齢になったとき、同じようにできるだろうかと考えると、とても簡単なことではないと思いました。

大仙市80歳過ぎでCDデビューを祝う会

人を集める力はどこから来るのか

今回のお話で、もう一つ考えたことがあります。

それは、人を集める力や、人を動かす力はどこから生まれるのだろうということです。

何かを企画して人に声をかけても、簡単に人が集まるわけではありません。

普段からの付き合いがあり、信頼関係があり、この人のためなら協力しよう、この人になら任せられると思ってもらえるものがなければ、なかなか大きなことはできないと思います。

それは、当日だけ頑張ればよいというものではありません。

普段の挨拶や礼儀、人との接し方、約束を守ること、困っている人がいれば手を貸すこと。

そうした日々の行いが積み重なって、少しずつ人との関係ができていくのだと思います。

昔から「徳を積む」という言葉があります。

何か見返りを求めて行動するのではなく、普段から人を大切にし、自分の役割を果たす。その積み重ねが、いざというときの信頼につながるのではないでしょうか。

人望というものは、何か大きなことを成し遂げたときに突然生まれるのではなく、それまでの生き方の中にあるのかもしれません。

人との関係は、効率だけでは測れない

今の時代は、効率や合理性が重視されます。

仕事でも人間関係でも、必要以上に踏み込まないことが求められる場面があります。ハラスメントへの意識も高まり、昔のような上下関係や、義理人情を当然とする付き合い方は、そのまま通用しなくなっています。

それ自体は悪いことではありません。

昔の慣習には、改めるべきものもたくさんあったと思いますし、無理な人間関係を続ける必要もありません。

ただ、その一方で、人との関わりが希薄になり、面倒なことや意見の合わないことがあれば、すぐに関係を断ってしまうようなこともあるのではないでしょうか。

そこで、ふと思うのです。

普段から深く関わろうとしない人に、いざというときに協力してもらえるのだろうか。

何かあればすぐに投げ出してしまう人を、周囲は長く信頼して何かを任せられるだろうか。

もちろん、何でも我慢すればいいということではありません。

今の時代には今の時代の人間関係があり、それぞれの世代には、それぞれの考え方や役割があります。

昔のやり方に戻せばいいという話でもありません。

それでも、相手を尊重すること、約束を守ること、引き受けたことに責任を持つこと。そうしたものは、時代が変わっても大切なことだと思います。

家族や仲間、同志というつながり

今回の同窓会のお話を聞いていて、家族や仲間、同志という言葉が頭に浮かびました。

単なる知り合いや、仕事上の付き合いとは少し違う関係です。

誰かの門出を祝いたい。
久しぶりに顔を見たい。
元気なうちに一緒に楽しみたい。
自分にできることがあれば手伝いたい。

そうした気持ちが集まって、一つの会になったのだと思います。

人は一人で生きているわけではありません。

自分一人でできることには限りがあります。誰かと協力し、助け合い、ときには誰かのために自分の時間や労力を使う。

そうした関係があるからこそ、自分一人ではできないことも実現できるのだと思います。

そして、その関係は一日で作れるものではありません。

普段からどのように人と接しているのか。どのような姿勢で仕事や生活に向き合っているのか。

結局は、そういった日々の積み重ねなのだと思います。

あの人になら、と思ってもらえる人に

今回のお話を聞いて、私は自分自身のことも考えました。

普段から、面倒だから後でやろうと思ってしまうことがあります。

やるべきことを先延ばしにしたり、大切な人への感謝を伝えそびれたりすることもあります。

しかし、後になって、あのときすぐにやっておけばよかったと思うことも少なくありません。

人との関係も同じなのかもしれません。

何か大きなことをするときだけ頑張ればいいのではなく、普段からの小さな行いや、相手への接し方が大切なのだと思います。

そして、何かを引き受けると決めたなら、途中で投げ出さず、できる限りのことをする。

ただ前向きであればいいわけでもありません。楽しむ気持ちや好奇心を持ちながら、現実的なことも考え、周囲とのバランスを取りながら進めていく。

今回のお客様の姿から、そんなことを学んだ気がします。

「あの人になら任せられる」
「あの人が言うなら協力したい」

そう思ってもらえる人になれるかどうか。

それは、話が上手であるとか、能力があるとか、目立つ存在であるということだけではないのでしょう。

普段の自分の姿を見て、誰かが力を貸してくれる。

そんな関係を築いていける人間でありたいと思いました。