マッサージとは
マッサージとはヨーロッパ発祥の手技療法です。皮膚に直接触れて末梢から中心方向、つまり指先や足先から心臓へに向かってさすったり揉んだり、押したりするなどの刺激を与えます。マッサージには静脈やリンパの流れを改善し、その流れを促進する働きがあると言われています。
日本では厚生労働省認定の資格で「あん摩マッサージ指圧師」があります。専門学校や大学で身体についての専門の教育カリキュラムを学び、国家試験に合格した人だけが取得できる資格です。
日本が法律として顧客に対して「マッサージ」という名称で施術ができるのは厳密に言うと実際は
・医師
・あん摩マッサージ指圧師
・理学療法士(医師の名に基づく場合)
だけになります。
世の中には整体やカイロ、接骨院、はりきゅう院、リラクゼーションなど様々なものがありますが、厳密にマッサージを行えるものは「あん摩マッサージ指圧師」のみとなります。
あん摩と指圧
あん摩
あん摩とはなんでしょうか?
あん摩は中国発祥の手技で、日本に伝わりました。
「按摩」とも表記され「按」にはおさえる、「摩」には「さする」と言う意味があります。つまり「おさえて、さする」のがあん摩です。
施術の方向が中心から末端へというのも特徴です。
指圧
指圧は日本独自の施術です。
あん摩と導引(もみほぐし)、柔道の技術である(活法)を組み合わせ、大正時代に体系づけられた日本独自の施術方法です。指や手のひらを用いて、一点集中して圧を加える特徴があります。
マッサージに関する研究
マッサージの効果に関する研究や報告はたくさんあります。
身体には刺激を受けるセンサーが様々あります。
皮膚や真皮などの表層部には「触圧覚」等いう受容器(センサー)が存在し、筋肉には「筋紡錘」や「ゴルジ腱器官」という筋肉の長さや張力を感知する受容器(センサー)があります。
それぞれのセンサーが受け取った情報は、神経を介して脳に伝えられ、その結果として身体が起こす反応が変わるというメカニズムです。
つまり、同じ「触れる」という行為でも、情報の受け取り方によって全く違う結果になるのです。
例えば、急に全く知らない人や生理的に合わないような人から腕を掴まれたら、当然身体は拒否しますよね?反対に、信頼できる愛する人に触れられたら心身ともに安らぐことになります。
触圧覚刺激・リンパマッサージ
身体のセンサーは皮膚と筋肉の中に多く存在します。そのうち、皮膚のセンサーは少しの刺激で身体を変化させる力を持っています。
この力を利用した「触圧覚刺激法」という技術は理学療法士を中心に行われているケア方法です。ある研究では、ある部位に触圧覚刺激を加えることにより、健常者の関節において関節角度の増加が生じ、反応に持続性(平均20時間)があるという報告もあります。
つまり「直接触れて、軽く圧を加えると、一定時間は筋肉の緊張が和らぐ」のです。ちなみにこの実験では「沈み込み」を感じる程度の圧を加えると表現されています。つまりは筋肉に触れて、センサーに働きさえすれば、皮膚や筋肉が「少し沈む程度の軽い力」でも十分に効果があることを示唆しています。
また、関節の可動域が低下する要因は、その組織内の圧力(内圧)が高まることがあります。内部にリンパ液が滞ることで、内側の圧力が上がっていきます。真皮や筋膜、被包筋膜などの組織にはセンサーが多数存在しています。
また、類似研究でも「触圧覚刺激法」、「深部リンパマッサージ」を用いて受容器に働きかけることが組織の内圧を減少させ、可動域の向上に有用という報告もあります。
マッサージと健康
マッサージと健康についてもう少しわかりやすい言葉で例えるならば、9つのことが挙げられます。上記に記載した内容もそうですが、ではそこから実際に何に効果があるの?というと
1、マッサージは皮膚の生命力や柔軟性、弾力性を高め、老化を防ぐ。
2、筋肉のコリをほぐし、緩め軽い身体へ。
3、血液とリンパ液の循環を刺激し、細胞への栄養の供給と老廃物の排除を促進。
4、神経の機能を正常に調節する。
5、内臓の反射作用を促し、臓器機能を調節する。
6、ホルモン分泌を調節する。
7、脊椎を矯正し、姿勢と骨格位置を改善する。
8、消化・吸収および規則正しい排泄を促進する。
9、ストレスを減少させ、身体と心の調和を促進する。
といったことが挙げられます。
揉み返し
揉み返しのメカニズムについてもお話しておきましょう。
マッサージに行った後、突然揉んでもらったところが痛くなったり、重苦しくなったりした経験はありませんか?この症状は「揉み返し」という症状かもしれません。名前は聞いたことがる、もしかしたらなったことがあるかもと思われる方もいると思います。揉み返しについても話していきます。
揉み返しには基本的にマッサージ後に現れる身体に悪い反応のことを指します。
揉み返しが起こる原因は過剰な刺激によるものだからです。押す力が強すぎたり、変な姿勢で施術を受けたりすることで筋肉にある細胞や組織が損傷し、炎症を起こしてしまいます。かなりひどい場合だと内出血を起こすケースもあります。ちなみに症状が3日以上続くと揉み返し、三日未満の場合はもみ返しではなく好転反応と捉えています。
良い揉み返し
良い揉み返しといいましたが、これはもみ返しではありません。好転反応と言われるもので3日以内に収まるものは良くするためのメカニズムの一環なのです。好転反応は、身体が正常な状態へ戻る際に起こる一時的な反応と考えられています。反応の原因として4つの反応があげられます。
弛緩反応
弛緩反応はマッサージや整体を受けた時に筋肉が緩み、凝り固まっていた筋肉に溜まっていた毒素や老廃物が循環する反応を指します。
過敏反応
過敏反応は施術した箇所が痛みがあったり痒みを覚えたり、炎症が起きたりします。
排泄反応
排泄反応は身体に溜まった毒素や老廃物を身体の外に出そうとする働きのことです。汗、尿、便、皮膚に反応が現れると言われています。
回復反応
回復反応は血行不良が改善されることで起こる反応です。うっ血(血液が滞っていた)によって、汚れていた血液が一時的に巡り始める時に表れます。
また好転反応と揉み返しの症状は類似点が多いのでマッサージ後にだるくなった=揉み返しと捉える方が多いのが実際ですが、その症状が何日で抜けたかによって良い反応、悪い反応なのかが変わってくることを覚えておいてほしいと思います。
良い反応でもだるさや、重苦しさ、痛みが出るということです。
マッサージを受けて健康に
マッサージを受けて健康になることはこれまでの内容で理解していただけたかと思います。少々専門的な話にもなりましたが、簡単にいうと「マッサージと健康」のところで触れた内容が身体に表れ、マッサージによって痛みや不調のない身体に変わっていくということです。
現在の社会ではデスクワークや単一動作の仕事、慢性的な運動不足、姿勢の悪さ、ストレスなどの様々影響で身体はその影響を受けています。
たかがマッサージと侮らず、マッサージを受けて身体をメンテナンスしていくことで身体の不調はなくなり、気持ちも前向きに明るい性格へ、また行動力にも繋がっていきますのでぜひお気軽にマッサージを受けられてみてください。