整形外科的な腰痛症一覧
人類が進化し二足歩行になった時から、人類の腰痛の歴史も始まります。
人間のからだは立った姿勢、座った姿勢において背骨に垂直方向の負荷が重力の関係でかかります。つまり、立っている姿勢、座っている姿勢が長いければ長いほど腰や背中周りの組織や筋肉が疲労したりダメージを受けやすくなります。
実際、職場環境の影響で腰痛症を発生する人は多くみられます。データでは労働災害(労災)の6割に及ぶそうです。同じ姿勢を取り続ける様な仕事、例えば事務職やデスクワーク、SE、ネイリスト、美容師などは腰痛の症状は多いとされています。
一方で重たいものを持ち上げたり、からだを捻ったりする作業の多い職業例えば運送業や介護、看護など多いです。
また急に腰痛が起こる例としては過度なスポーツ、不意をついた接触、事故が挙げられます。突発的な衝撃や急に力が入るのためです。慢性的に同じ動きを繰り返すスポーツ競技も腰痛症が多くみられます。逆に筋力が落ちてしまって起きる腰痛やこどもにおける成長過程での腰痛もあり一言で腰痛と言っても様々です。
あなたに当てはまる腰痛症、背中痛あれば参考にしてみてください。
筋筋膜性腰痛症
一般的な腰痛症の約8割が筋筋膜性腰痛と言われています。筋肉の過緊張、筋膜の損傷によって起こる腰痛症です。原因は長時間の無理な姿勢、同じ姿勢、スポーツなどによる急な腰への負荷があげられ骨や軟骨には異常はありません。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は首から腰までの背骨の中には脊柱管と呼ばれる、脳から手足内臓に走る神経の集合体を入れるための管があります。その管のところどころから神経が出て手や足、内臓に繋がっていくのですがその神経が出るところで脊柱管が狭まってしまい神経を圧迫することがあります。それによってその神経の支配領域にマヒや痺れの症状が現れます。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板とは24個ある背骨の背骨と背骨との間にあるクッションのような組織です。その椎間板の中はゼリー状なのですがその中にやや硬い核の様なものがありそれが椎間板の外の皮を破り外に出てしまう(ヘルニア)ことによって脊柱管内の神経を圧迫し腰痛の症状が現れます。主な症状は腰痛、お尻から足にかけての痛み、痺れ、力が入りにくくなる(坐骨神経痛)などです。CTやMRIなどの精密検査で診断されます。
変形性脊椎症
主な原因は加齢です。背骨が加齢によって変形し骨と骨がトゲの様な骨を形成してしまう骨棘(こつきょく)などがレントゲン検査でみられます。症状は腰、お尻の痛み、足の痺れなどです。
腰椎分離症、腰椎分離すべり症
背骨の前部分を椎体、後ろ部分を椎弓と呼ぶのですが椎体と椎弓を結んでいる部分が細い形状になっておりそこが疲労骨折してしまうことで腰痛の症状が現れます。これが腰椎分離症です。
腰椎分離症が悪化し椎体と椎弓との間が離れるないし、可動性が増えてしまうと今度は名前が変わります。腰椎分離すべり症といい分離症の悪化版です。これは骨が成熟していない子供に多くみられます。スポーツをやっていて腰をそらす動き、ひねる動きを何度も何度も繰り返すことによって腰に負担がかかり発生します。野球、バレーボール、サッカー、ラグビー、柔道、ウエイトリフティングなどの競技に多いデータがあります。
変形性すべり症
逆に中年以降で筋力低下によって椎間板やその付近の関節がすり減り痛んでしまい前後に分離してしまう変形性すべり症というものもあります。この場合は分離を伴いません。
症状は腰の痛み、おしりの痛み、足の痛みや痺れが現れることがあります。
腰椎椎間関節症
24個ある背骨は上下の背骨とくっつくために関節を作ります、その関節のひとつに椎間関節というものがあります。腰椎椎間関節症はその椎間関節を腰を過度にそったり曲げたり繰り返すことで痛めてしまうケースと、日常的な姿勢の悪さから椎間関節に慢性的な負担がかかり痛めてしまうケースがあります、反り腰、妊婦さんなどは椎間関節に負担がかかりやすいといわれています。
ぎっくり腰
突発性の腰痛の総称が「ぎっくり腰」です。
腰に疲労が溜まって筋肉が固まった状態で中腰になったり、床に落ちているものを拾おうとしたり、洗面所で顔を洗おうとして急な腰痛に見舞われます。ピキ、グキなど音がしたなどという話も聞きます。
通常は2週間ほどで回復しますが、長期化、慢性化するケースがあるので早めのケアが大切です。昔は寝た状態で安静にするのが一般的でしたが、最近ではできる範囲で動かしたり系運動をすることが推奨されています。一年に何度もぎっくり腰を繰り返し椎間板ヘルニアなどに重症化する場合があります。
脊椎腫瘍
背骨にできる腫瘍です。多くは多臓器からの癌が原因で発症します。前立腺や肺からの転移が多いようです。まれに脊椎から初めて癌が発生するケースもあります。背骨に癌が転移すると24時間昼夜問わず激痛が発生します。腫瘍の位置によっては神経を圧迫、触れることで排尿・排便障害、下肢のマヒなどが起こるケースもあるようです。
背髄腫瘍
脊髄にできる腫瘍です。一般的に脊髄にできる腫瘍は良性のです。慢性的な腰痛と下肢にマヒの症状がみられます。腫瘍は大きくなると、こちらも排尿・排便障害がみられることが多いです。
脊椎カリエス
結核菌由来の病気です。結核菌が脊椎に感染し激しい腰痛、背中痛が生じます。感染した部位によってだるさ、疲労感、微熱などの結核特有の全身症状が現れます。
内臓の病気でも腰痛になります!
消化器系の病気による腰痛症
胃・十二指腸潰瘍、胆石、胆嚢炎(たんのうえん)、膵臓炎(すいぞうえん)などの影響で腰痛が現れます。他に腹痛、吐き気、嘔吐など伴うケースがあります。
泌尿器系の病気による腰痛症
尿路結石、腎結石、腎盂腎炎(じんうじんえん)、前立腺がんなどで腰痛の症状が現れます。排尿障害や血尿が見られるのが特徴となります。
婦人科系の病気による腰痛症
女性の腰痛症で実際何度かみたケースがあります。子宮内膜症や子宮筋腫、子宮がんなどの影響で腰痛の症状が現れます。おりものの量の増加、不正出血など少しでもいつもと違うかもと思った際はかかりつけの婦人科へ。
循環器系による腰痛症
最近でもよく見聞きします。心筋梗塞を起こした際に締め付けられて背中、腰が痛みます。程度は人によって様々のようです。また、解離性腹部大動脈瘤(かいりせいふくぶだいどうみゃくりゅう)という非常に激しい痛みが腰や下肢に突発的に起こることで現れることもあります。解離性腹部大動脈瘤はホント激痛なのでなりたくないです…
実はストレスが原因による腰痛症も
強いストレスが慢性的にかかっていることによる腰痛症もあります。これを心因性腰痛といい、気のせいではないはっきりとした痛みとして現れます。痛む箇所は日によって変わったり、不安が大きくなると痛みが増えることも特徴です。
なかにはうつ病などの精神疾患が原因で腰痛症がみられるケースもあります。
あなたのお悩み一度相談してみてはいかがでしょうか?