「なんとなくイライラする…」そんなとき、体の中では何が起きているの?
みなさんはこんなふうに感じたことはありませんか?
・なんだかすぐ怒りっぽくなる
・ちょっとしたことでイライラする
・胸がつかえるように苦しい
・おなかが張って苦しい
・ため息が出ることが多い
こういうとき、東洋医学では「肝鬱気滞(かんうつきたい)」という体の状態になっているかもしれないと考えます。
「肝鬱気滞(かんうつきたい)」なんて初めて聞いたし、ちょっとむずかしい言葉ですが、私の知っている範囲で、ひとつずつわかりやすく説明していきますね。
「肝(かん)」って何のこと?
東洋医学でいう「肝」は、西洋医学の「肝臓」とは少しちがいます。
東洋医学でいう五臓六腑の中での肝は、からだの中の「気(き)=エネルギー」をスムーズにめぐらせる、とても大切なはたらきをしています。
たとえば、
自転車でスイスイ走れるように道を整えてくれる
車が渋滞しないように信号をうまくコントロールしてくれる
肝はそんな「交通整理係」のような役目があるんです。
肝が元気に働いていれば、心も体もスッキリ元気に動けます。
「気滞(きたい)」ってどういうこと?
「気滞」とは、気の流れがスムーズじゃなくなって、体の中に“つっかえ”ができている状態のことです。
たとえば…
ストローにタピオカがつまって、吸ってもうまく出てこない。
すいどうのホースが折れ曲がって、水が出にくくなる。
これと同じように、「気」というエネルギーがつまって、流れにくくなっているのが「気滞」です。
「肝鬱気滞(かんうつきたい)」はどんな症状?
つまり、「肝の元気がなくなって気の流れが悪くなる」ことを肝鬱気滞といいます。
肝鬱気滞になると、こんな症状が出やすくなります。
イライラ・怒りっぽい
気分が落ちこむ
胸やおなかがつまった感じ
ため息がよく出る
生理前に情緒が不安定になる(女性)
のどがつまった感じ(梅核気)
ゲップやおならが多い
お腹が張る、便秘と下痢をくりかえす
見ての通り、心と体の両方にあらわれるのが特徴です。
どんな人がなりやすいの?
肝鬱気滞になりやすい人には、こんな傾向があります。
・真面目で几帳面(きちょうめん)
・感情をためこみやすい
・すぐに不安になったり、落ちこみやすい
・まわりの人に気をつかうタイプ
・怒りをうまく出せない(我慢してしまう)
特に、仕事や子育て、家事でがんばりすぎている女性にとても多く見られます。
東洋医学ではどう見ているの?
東洋医学では、感情と臓腑(内臓)との関係がとても深く考えられています。
「怒り」は「肝」に。「悲しみ」は「肺」に。「思い悩む」は「脾」に。これは五行色体表の五志にも由来します。
つまり、怒り・イライラ・抑えられない感情=肝に負担がかかるという見方です。
肝が弱ると、エネルギーの流れが滞りやすくなってしまい、心も体もつまったように重くなってしまうのです。
セルフケア方法
東洋医学では、肝の「疏泄(そせつ)」=のびのびとエネルギーを巡らせることが大切です。
そのためのセルフケアを紹介します。
① 軽い運動をする(ウォーキング・ストレッチ)
体を動かすことで「気の流れ」がスムーズになります。
10分でもいいので、外を歩いたり、ラジオ体操をしたりしてみましょう。
② 太陽の光を浴びる
朝の光は、心のバランスを整えてくれます。
日の光を浴びることで、セロトニンという元気ホルモンも増えてきます。
③ 柑橘系の香りをとり入れる
みかん・レモン・グレープフルーツなどの香りは、気の流れをよくしてくれます。
アロマオイルや入浴剤もおすすめです。
④ お風呂でゆっくりリラックス
お湯につかることで、体がゆるみ、気の流れもなめらかになります。
特に、肩まわりや背中が緊張している方には効果的。
⑤ ツボを押してみる
気の巡りを整えるツボがあります:
| ツボ名 | 場所 | 効果 |
| 太衝(たいしょう) | 足の親指と人さし指の間 | イライラ、情緒不安定に◎ |
| 内関(ないかん) | 手首の内側、3本指分上 | 胸のつかえ、気分の落ちこみに◎ |
| 膻中(だんちゅう) | 胸の中央、両乳頭の中間あたり | 気持ちをゆるめ、呼吸も楽に◎ |
軽く3秒押して、3秒離すを数回くり返してみてください。
自分の気持ちに気づいてあげましょう
「肝鬱気滞」は、がんばりすぎていたり、気持ちをためこんでしまう人がなりやすい体のサインです。
「がんばらなきゃ」よりも「今日は少し休もう」「自分の気持ちに正直でいよう」
そんなふうに心がけてみてください。
必要であれば、施術を行わせていただきますので、お気軽にご相談ください。
からだの内側からスッキリと整えるサポートができますよ。